「韓国が心配な韓国人」(日本が心配な私)

朝鮮日報のコラム「韓国が心配な韓国人」を読んだ。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/10/%12/2014101200195.html
米国の世論調査会社ビュー研究センターが世界44カ国を対象に行った満足度調査の結果について、韓国国民は満足が28%、不満が69%とある.。不満が満足の2倍もあるとコラムは嘆くがどうだろう? ちなみに上位は中国(87%)、ベトナム(86%)、マレーシア(77%)などアジアの新興国、下位はギリシャ(5%)、スペイン(8%)、イタリア(9%)など財政危機に見舞われた欧州諸国だ。韓国が23位、新興国でも衰退国でもないということで、概ね妥当な数字じゃないだろうか。

ところでコラムには同じ調査の過去の結果も掲載されており、そちらの方にいろいろ考えさせられた。それによれば、盧武鉉政権末期の2007年は9%、李明博政権の10年は21%。朴槿恵(パク・クンヘ)政権1年目の13年は24%。「少しずつ上昇している」とあるが、過去がひどすぎる。なかでも盧武鉉政権末期の9%は異常だ。

あの頃のことはよく覚えている。当初から保守派はこの民主化運動の英雄に攻撃的だったが、のちに「同志」までが彼の批判勢力になっていく。彼らは大統領のリアルな国政運営に対し、荒唐無稽な要求をつきつけ、党派的な批判を繰り返した。その結果が末期の支持率は過去最低のものとなった。
盧武鉉ノ・ムヒョン)大統領への支持度が歴代大統領のうち最悪の5.7%に落ち込んだことが分かった。これまでの最低レベルだった任期末大統領(金泳三)の8.4%より2.7%低いもの。 」
http://japanese.joins.com/article/471/82471.html?sectcode=&servcode=200
彼は完全に孤立し、それは傍目にも気の毒だった。しかし、まさかあんな悲劇的な結末になるとは思いもしなかった。みんなが茫然自失となった。一方で、彼の名前を持ち出し、反省したり、いろいろ語る人も多かったが、私はそういう人たちが苦手だった。「死を無駄にしない」って都合のいい言葉だと思う。

ただ悲しみにはうそはなかったと思う。彼の同志たちはまた団結し5年後の大統領選挙では僅差で破れはしたものの、野党の存在感を十分に示すことに至った。ほぼ五分五分の支持率の与野党は、お互いを批判しながらもバランスのとれた国政運営が実現されるだろう。与党圧倒的多数の日本に比べても、韓国の方が本来の民主主義に近いものになるかもしれないと思った。ところが、それはまったくの幻想だった。

コラムによれば、韓国リサーチが行った最近の調査結果として、「(与党)セヌリ党はしっかりと仕事をしている」という回答は3月の31%から25%に減り、また「(野党)新政治民主連合はしっかりと仕事をしている」も同じく12%からわずか3%にまで落ち込んだ」という。与党の25%もひどいが、野党は3%である。

政治がここまで信頼を失った理由を、コラムは「何らかの対立が起こるたびに、一切妥協を許さない姿勢で戦う与野党の議員たちに対しても、国民の忍耐は限界に達している」と描写している。
そこには「セウォル号特別法」を取り巻く国民世論の分裂を、政治家は仲介するどころか、ますます溝を広げているという、国民の嘆きがある。

さらに野党に対する失望感が徐々に拡大している背景には、「国民の中に極端な対立を嫌う中道の考え方を持つ人が徐々に増えている現状があるのに、逆に野党内では極端な強硬論者が力を得ているという現状がある」と続ける。

野党に批判的な朝鮮日報であるにしろ、この指摘は間違っていないと思う。ばかりか、今の日本の状況をも彷彿とさせる。
「朴大統領を支持するわけではないが、かといって野党やデモをする人々の極端な主張にもついていけない」
この「朴大統領」は「安部首相」にも置き換えられる。
妥協が大切だ。今のままでは前に進めない。停滞して腐り始めるか、後退するか。韓国の風景も日本の風景もよく似ている。