韓国でする「孤独のグルメ」⑧

最近は日韓関係が悪く、日本人観光客も激減しているようす。

「日本人観光客26%減、航空・旅行・ホテル大打撃」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/10/29/2013102901344.html

 この記事、内容は見出しほど嘆いておらず、特に中国人観光客が穴埋めしてウハウハのところもあるはずなので、なんかな…という感じ。ただ、ついでに朝鮮日報を眺めていると、「おやっ」と思う。

「日本人の韓国旅行・投資減少、関係悪化が主因」という記事とか「‘韓国より日本の方が好き’東南アジアで国家イメージ調査」という記事とか…。

対日強硬一直線だったパククネ政権、どこまで頑張るかなと思っていたが、ちょっとだけ風向きが変わってきたのかな? 
さらに野党系の新聞になると、冷静な分析も少しずつ。これは京郷新聞の記事だけど、「일본에 대한 한국과 세계의 다른 시각」とかね。
http://yidaekeun.khan.kr/m/78
「僕たち韓国人が思っている日本と、世界が見ている日本は違うよ」と。

確かに、今回のような「日韓関係悪化」は過去になかった。これまではいつだって韓国が怒り、そのせいでいろんなことがキャンセルされていた。ところが今回は日本側の感情悪化がすごい。週刊誌のアンケートでは、成人男性の半数が嫌韓だとか。ネットなどを眺めていてもそうだろうなと思う。で、そういう空気はそろそろ韓国側に伝わり始めたかもしれない。

ちなみに韓国で普通に生活していて、最近になって特に反日感情の悪化を感じることはない。むしろよくなったかもしれない。
なにしろ調子にのりやすい韓国の人々。韓流ブームの頃は高ピーだった人が、いきなり低姿勢になったり。日本の人はこういうのを嫌うようだけど、まあ、商売やっている人にはありがち。日本人のメーカーさんだって、仕事が無くなってサムソンにすりよったし。

それよりも問題はPM2.5
こんなにきれいな空が、あっという間に灰色になる。

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韓国でする
独りグルメ
  
その8 八色サムギョプサルの
家庭式昼食
가정식점심한상
   
外出先で昼時が近づくとそわそわする。ランチの約束がない日は、ゆっくり自分の好きなものを選んで食べられる。それは楽しみでもある一方で、時には結構ストレスにもなる。先日もそんな日があった。
「さて、何を食べようか」
ここは弘大入口に近く、夜はとてもにぎやかなエリアなのだが、昼間は閑散としている。目の前にそびえる豪奢な木造建築は「東京焼き」。最近できた日本風焼肉店のようだ。その向かいは「美味しい京都」、こちらは以前からあった。

冗談みたいな店名が競合しているのが今のソウルである。
最近の和食ブームはすさまじい。寿司、ラーメン、かつ丼、日本風のカレーばかりか、日本風焼肉なども登場している。新規オープンで目立つ店はほとんどが日本がらみ、韓国料理は元気がない。うちの近所でもこの数カ月の間に、何軒もの韓国料理店が日本風居酒屋や寿司屋になってしまった。

日本にいたらランチに「和食」もいいけど、せっかく韓国にいるのだから、やはり韓国料理が食べたい。そこで、さらに周辺を歩いてみる。「おお、カッコいい」という店もあるが、いずれもカフェ。サンドイッチやバーガーの類も、やはり韓国では食べたくない。味も味だが、値段に納得がいかない。無意味に高いのだ。ちなみにスタバも、韓国が世界一割高と聞いた。

さらに目を凝らしてあたりを歩きまわる。清潔そうなポッサムの店があるが、一人では入りにくい。スンドゥブの専門店は一人でもOKだが、なんとなく芸がない。ソルロンタンにはまだ暑いし、冷麺はもうシーズンオフな感じがする。なるほど、韓国料理とは季節がはっきりしていた方が食べやすいようだ。寒ければ寒い、暑ければ暑いで、食べたい物のイメージはっきりする。

それにしても、決まらない。かなりお腹がすいてきた。早くしないと食べる時間がなくなってしまう。と、その時、目の前の店の宣伝文句が目に飛び込んできた。
「家庭式昼食一人前6000w」
おお、これはまさにお一人様のためのメニュー。日替わりで適当な家庭料理を出してくれる店に違いない。中をのぞいたら、男性の一人客もいる。よしよし、一人でも大丈夫だ。
やっとご飯が食べられる。ほっとして席に着くと、学生アルバイトのような若い店員がオーダーを取りに来る。
「家庭式昼食をください」
「はい。テンジャンチゲかキムチチゲか選んでください」
なるほど、チゲは選択制なんだ。もう考えずに一刻も早く食べたかったが仕方がない。
 「じゃ、キムチチゲ
 「はい、キムチチゲですね。ではテージコギ(豚肉)かコンチ(さんま)かチャムチ(シーチキン)の中から選んでください」
 また考えろと…。「チャムチ」と明らかに不機嫌に答えた。楽しみな昼食なはずが、すっかり疲れてしまった。そこへ、コンロと鍋をもったバイト君がニコニコしながらやってきた。なんと、今から火をつけて目の前でチゲを煮てくれるのだという。まだおあずけ。「待て」を言われるワンコのように悲しい私…。

 でも、待たされた揚句に食べた、ここの昼食はボリュームたっぷりでそれなりに満足した。だから、ま、いいっかと思うことにした。