先日の記事の補足、韓国の50代に関して

先日、このブログに書いたことと、重なる部分が多い記事が今日の朝鮮日報にも出ていた。

大統領選:投票率89.9%、何が50代を動かしたのか
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/12/27/2012122701511.html

第1回:50代が投票しなければならなかった理由
「わが子の未来が心配になってわが子と違う選択をした」
「世の中をひっくり返さなければならない」とは何のことか
・激動の社会を生きてきた私たちがそんなことを言われる筋合いはない
・安定した国を願うが…ネットが世論を操作。投票でそうではないということを実証したかった
・政策一つに親子の人生が懸かっている
・政治に関心を持たないことなど考えられない。50歳になると選挙公約を細かく見るようになった

 細かい内容も、私が考えたこととほぼ同じなのだけれど、「ああ、そうか」と改めて思った部分があった。

息子、娘たちを見ながら、われわれの立場からはこれは大変なことになったと思うようになった。社会経験が多い50代の立場からすると、子どもたちの心配をするほかないため、子どもとは反対の立場で集まるようになった。子どもたちのために子どもたちが支持しない候補に票を投じた」。京畿道高揚で中小企業を営むキムさん(51)の話だ。

 「子供たちのために」というのが、本当に韓国らしい。「このバカ息子」と腹を立てるのではなく、「おバカで心配だから」と心から同情するのである。
 日本では「北朝鮮のミサイルの影響は?」などということが、まじめに話されてもいたようだけど、それよりも韓国人の行動を決めるのはやはり子供のことだ。確かに、ミサイルの話している人なんか誰もいなかった。(70代以上は別だけど)。

 また、朝鮮日報には「大統領選:韓国の50代とは」という記事もあり、韓国の50代がどういう世代かについて、わかりやすくまとめてあった。以下、箇条書きにしておく。

・韓国の50代(1952−1962年生まれ)は778万人だ。全人口(5093万人)の15.2%を占めている。
終戦直後のベビーブーム世代(1954−1963年生まれ)とほぼ重なっている(統計庁・行政安全部)
・平均5.2人(2010年、ソウル大の調査)の兄弟と共に育った50代は、経済開発が本格化した時代に青少年期を送った。
・小・中・高校時代はすし詰め状態の教室で苦労し、春窮期こそなかったものの、コメが足りず、混・粉食奨励運動を経験した。
・この世代は1971−1981年にかけて大学に入学し、暗黒の維新時代(故・朴正煕〈パク・チョンヒ〉元大統領による独裁政権時代)に大学生活を送った「維新世代」だ。

さらに朴正煕大統領の長男、パク・チマンは1958年生まれで、彼らと同世代である。「チマンのために、高校受験制度など、さまざまなことが変わった」と朴正煕一家に個人的に憎しみをもつ人々もいる。

・半数以上(64.2%)が経済的困難から望む段階の学校教育を受けることができなかったが。
・これら世代の90%以上が、大学の授業料と結婚のための資金を子どもに援助すべきだと回答している
・両親への支援に28万ウォン(約2万2000円)を使っている。
・これらの世代は年平均で4779万ウォン(約377万円)を稼ぎ、自宅を合わせて2億9633万ウォン(約2340万円)の資産を持っている(ソウル大の調査)。
・50代の3人に2人(68.5%)が親が今も生存しており、親への経済的支援も行っている。親と子どもに対する支援に責任を負っているため、老後の準備や自分の啓発にはほとんど投資できない。
・50代の5人に1人(20%)は家計が苦しく、老後の準備ができないと回答した。1年間に公演や展示会、スポーツ観戦などを1度でも行った経験のある50代は、半数(47.8%)にも満たなかった(統計庁)

彼らと日本の50歳代の最大の違いは、「子供の教育費負担」もさることながら、「親の問題」が大きい。韓国は年金制度が日本よりずっと遅れて始まったため、今の70歳以上はほとんどが無年金である。よって、生活費は40〜50代の子供たちが負担するしかない。
30年間必死に働いた成果である小さな家、少しの貯金、わずかな株、もっているものを守りたい意識は、中流以下の人々により強い。