国際数学ランキングの記事を見ていたら、いきなりロケットが飛んだ。

朝は飛ばないと言っていたロケットが飛んだ。
韓国政府・報道機関、あわてることしきり。国防部のしどろもどろは、これまでの北関係の情報戦乗り遅れの時と同じ。MBCやSBSはそれでも速報を流したけど、ほとんどがNHKの引用。KBSはそれにも遅れた。ツイッター上の反応は「はあ〜?」「おいおい、うちの政府は情報能力はどうなってんだ?」
ま、そうだよね。「今年中は無い」って、朝、言っていたんだもん。
一部ではこれが大統領選挙にどう影響するかという話題も。通常ならこういうのは与党有利となるのだけど、ネットなどでは現政権の「無能力」を批判する声も多く、さて、どうだろう?
私が野党なら、あえてこれを追い風にもっていくと思う。
「現政権の情報収集能力には重大な問題がある。これは国際的にもはずかしいことだ。その点、我が党は北ときちんと関係を作ることができる」という風に。でも、実際にはそんなことはできなかったのが盧武鉉政権時代の反省なのだろうけど。


それはともかく、私が朝から気にしていたのは別の話題。小中学生の算数と理科の国際ランキング、朝のNHKニュースでも報道されていた国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の結果だ。

小学4年と中学2年生を対象に昨春実施されたもので、日本は中2の数学(5位)・理科(4位)は横ばいだったが、小4の算数(5位)・理科(4位)は過去最高点で学力が向上しており、これは「脱ゆとり」教育の効果という。

トップクラスはシンガポールや韓国、香港というアジアの「中華文化圏」。(私は韓国も中華文化圏だという理解)。予想通りの結果である。
<小4算数>
 1 シンガポール  606(2)
 2 韓国      605(−)
 3 香港      602(1)
 4 台湾      591(3)
 5 日本      585(4)

一方NHKでは、「算数や理科を好きだという子は多いけど、それを職業にしたい人は少ない」――というようなことを心配していた。ノーベル賞報道たけなわの今、国民的にも関心のあるところなのだろう。たまたま隣に我が家の小学生もいたので聞いてみた。
「算数や理科は好き?」
「うん、好きだよ」
「じゃあ将来はそんな関連の仕事をしたい?」
「…うーん、算数はいやだけど、理科ならしてみたい」
ま、そうだよね。算数に関連した仕事って、イメージしにくいし。

さて韓国でも、これは関心事項。朝鮮日報は早々と日本語版にも登場していた。

韓国の理数学力は世界トップ 「好き」は低水準http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/12/11/2012121103158.html?ent_rank_news

【ソウル聯合ニュース】韓国教育課程評価院は11日、国際教育到達度評価学会(IEA)が世界50カ国・地域の小学4年と中学2年を対象に実施した2011年国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の結果を公表した。小4と中2とも世界最高水準の学力を維持したが、理数学に対する興味は依然として低かった。
 韓国の小4は算数で2位、理科で1位となった。中2は数学が1位、理科は3位だった。小4は1995年調査と同水準だった。韓国の小4は1999年と2003年、2007年調査には参加しなかった。中2は2007年調査に比べ、数学と理科のいずれも順位を一つ上げた。
 日本は小4の算数が5位、理科が4位、中2は数学が5位、理科が4位だった。

日本のことまでご丁寧に書いてありところなど、嫌韓な人々には早速つっこまれそうだけど、こういう新聞社の旧態依然な作風はどうしようもない。それはともかく、韓国人が最も気にしているのは、次の部分。
 

一方、数学が「好きだ」と答えた中2は8%、理科は11%にとどまった。数学の国際平均は26%、理科は35%。数学はスロベニアに次ぐ低水準で、理科は最低水準となった。小4は算数が23%と最低、科学は39%と3番目に低かった。  

つまり成績はよくても、心から楽しんでやってはいないということだ。これは勉強に限らずあらゆり分野で韓国人が感じている。成績と関係なく勉強を、お金と関係なく仕事を。そのものを本当に好きでやっているのだろうか、ということ。
「この前、日本のテレビで浅田真央ちゃんを見ていて、この子は本当にスケートが好きなんだなと思った。でもね、キム・ヨナはそういう風には見えない。常にプレッシャーの中にいる。私も韓国人だから、彼女が勝てば、うれしいけど、なんとなく見ていてつらい時がある」
これを言っていたのは、知り合いのサラリーマンだけど、前に詩人の金芝河もキムヨナのことを「不吉な顔」とまで言っていた。これは日本語の「不吉」というニュアンスとはちょっと違い、まあ、「吉ではない」というぐらいの理解でいいとは思うけど、いずれにしろ、キムヨナは国民的英雄。さすがの長老詩人も「あえてバッシング覚悟で言う」と言っていた。

ところで、算数と理科の話だ。日本は?とみると、以下の記事がヒットした。

一方、「算数が好きだ」と答えた小4は「強くそう思う」「そう思う」を合わせて、国際平均(81・4%)より15ポイント以上も低い65・9%。「数学を使うことが含まれる職業につきたい」と答えた中2は国際平均(51・6%)より約34ポイント低い17・9%。また「理科を使うことが含まれる職業につきたい」と答えた中2は20・3%で国際平均(56・2%)より約36ポイントも低かった。

http://mainichi.jp/feature/news/20121212ddm001100027000c.html
これは毎日新聞記事の引用だけど、関連記事のタイトルは朝鮮日報とほとんど同じだった。

国際理数学力調査:学力向上も「好き」は低率 日本の子供http://mainichi.jp/select/news/20121212k0000m040077000c.html

児童生徒の意欲や関心の低さは依然改善していない。今回の調査でも「算数・数学が好きだ」と答えた割合は、「強く思う」と「そう思う」を合わせ、小4の65.9%から中2の39.1%に急落。「理科が好き」も小4の83.2%から中2の52.5に減った。
 07年で「算数・数学が好き」と答えた小4は国際平均(80%)を下回る66%。中2は37%で国際平均(65%)より28ポイントも低い。「理科が好き」な小4は82%で国際平均(83%)とほぼ同じだが、中2になると52%と激減し国際平均(75%)を大きく下回る。

ちなにに毎日新聞のソウル支局は朝鮮日報の中にあり(最近行ったことないけれど、たぶんそうだと思う)、同じタイトルにびっくりしているかもしれない。でも、韓国に比べれば日本はいいほう。特に理科の人気は圧倒的に日本の方が高い。

「小学生というのは本来、理科(サイエンス)が好きなもの」と知り合いのアメリカ人小学校教師が言っていた。でも、韓国の小学生はそうではないらしい。そういえば、日本に留学経験のあるマレーシ人の物理学の教授が、自分の娘は日本人学校に入れたいと言っていた。
「マレーシアも詰め込み式で、子供が対象に興味を持てない。特に理科や社会は日本の方がうんと楽しい」
マレーシアも勉強面では中国系の人々の影響強いから…。なるほどと、思った。