竹島と韓国芸能界のジレンマ

 竹島問題など一連の騒ぎ。「在韓日本人は大丈夫ですか?」とよく聞かれるが、過去に比べれば静かなもの。例えばヨン様が問い詰められた2005年には、日本大使館前で連日のデモ、街は騒然としていた。今回は逆に日韓関係を憂う声も。「韓流ブームはどうなるか?」――日本の女性週刊誌が行った竹島関連アンケートも、翌日のニュースでさっそく紹介されていた。

 「韓流」が心配されるのは、それが今のところ日本なしで成立しないから。理由はいろいろあるが、まずは日本以外の中国や東南アジアなどでは、いくら人気がでても著作権の問題や現地通貨の安さがあり十分な収益につながらない。さらに、「先進国日本で人気」は宣伝効果も大きい。でももっとも重要なのは日本からの版権料。これがないと、高額ギャラの韓流スターを起用したドラマが作れないという。たとえばイ・ビョンホン主演の『アイリス』や、チャン・グンソク主演の『ラブレイン』などは、制作段階で日本での放映権料が見込まれていた。しかもその額は、通常の韓国ドラマの製作費そのものを上回っている。
 日本以外の国に韓流ブームを広げたい韓国。でも、なかなか日本離れできない現状。このジレンマが韓国芸能界にある。
(9月4日付 『東京新聞』に掲載)

写真はある地下鉄駅にあるネイチャーリパブリック。日本人・中国人観光客が行かないエリアでは、高い広告料をはらった韓流スターも隅に追いやられている。

一方、最近、多数のKpopスターは「韓流スター」という言い方を非常に嫌う。中にはK-popというカテゴリーさえ拒否する音楽事務所もある。
「韓流スター=日本の中高年女性に人気の芸能人というイメージを払しょくしたい」(関係者)

最終目標である米国進出のためには、ローカルな固定したイメージよりも、無国籍的なアーティストという風が戦略的に有利ということだろうか。