日韓逆転

楽しかった夏休みが終わった。
家族や親戚や友達中心に動いていた日々が終わり、さて仕事モードに切り替え。

それにしても、今年はいつになく日本からのお客さんが多かった。夏休みということで、みんな子供連れ。小中学生にとってソウルの街はなかなか刺激的なようで、さっそく韓国語の勉強を始めた子供たちもいる。
そんなさなかに竹島やらなんやら起きて、日本からは「みんな大丈夫かー?」という心配コールもあったのだけど、今回に限れば怒っているのは日本の方で、韓国側は「ど、どうしよう…」と困っているイメージだ。

その意味では日韓逆転。

韓国にメディアは明らかに、「報道を控えている」。
日本側は連日のトップニュースで竹島李明博大統領の不敬問題を伝えていた頃も、韓国は「通り魔」「大雨」「選挙」と他のことをいろいろ報道したあとで、ちょこっと「野田内閣が…」とベタに話すだけだった。

ちなみに親書が書留でつっかえされて、玄葉外相が血走った眼で「あり得ない」と憤慨し、日本国民(いつになく多数の)の怒りが頂点に達した翌日も、韓国のニュースでは、KBSは「近づく台風」(まだ沖縄にも到達していないのに)、MBCはニューヨークの乱射事件がそれぞれトップニュース。KBSもMBCも、「わざと避けている」状態だった。労組員が処分されて以来、どちらの局も完全に政府の言いなりなので、これは明らかに政府の意向。
一方、李大統領は全く人前に姿を見せず、「謹慎させられているんじゃない?」という声も。突如、水を得た魚(正面からみるとチョウチンアンコウに似ている)のようにはりきりだした野田首相とは、とても対照的だった。

ある韓国人のブログでは、「上陸というスタンドプレーをしたくせに、日本が怒ったら8・15の祝辞では独島問題に言及しないという「へたれぶり」。さらに、とってつけたように「女性の人権云々」。演説の〆の「これからもさらに一生懸命仕事をします」と言ったセリフに、「これは大変だ!」と突っ込んでいた。

誰がどう考えても、大統領の行動は日本側の利となった。
韓国政府がもっとも困るのは、無垢な自国の若者の中から「国際裁判所へ」という声が出てくること。すでにネット上では、「日本が裁判だというなら、堂々と受ければいいのに、どうして拒否するんですか?」みたいな質問もあがっている。新聞のコラムなどでも、「裁判に対応できるような資料整備」をいう人もいる。
日本からの要請は、親書がこようが、大使がこようが、送り返せばいいのだろうが、自国民の声は無視できない。しかもそういう韓国語での内輪の話も、最近はあっという間に白日のもとにさらされる。

渦中に日本の週刊誌から電話があり、インタビューをされた。
「韓国人が今、こんなにエキセントリックになるのはどうして?」
「え、韓国人は静かですよ」
「韓流スターもバッシングされていますか?」
「KARAのことですか? あんなの2005年のペ・ヨンジュンの時に比べたらまったくどってことないですよ」
毎度のこと、日本の週刊誌は韓国人が怒り狂っているコメントがほしいのだが、今回に限って言えば「日本の抗議に驚いている」(韓国政府筋)のが実情だ。

日本政府の一連の抗議は国家としては当たり前だし、これまでこういうことをしてこなかったことが問題だ。竹島に上陸したソン・イルグッグの入国拒否も、日本の立場からすれば「不法入国」なのだから、それをもってビザの発給を拒否することは可能だ。(それが国民感情というわけではなく。また、その場合は李大統領も同罪)。

私自身、一部の韓流スターに関して残念に思うことは多い。
それは政治的なことではなく、日本への過剰な甘え体質だ。異常に高額ギャラ、非常識な要求、勝手な態度…。
もちろんスター個人ではなく、事務所の問題なのだろうけど、拒否すべきことを拒否しない日本側も悪い。言いたいことを言えずに、ストレスたまりまくり、一気に嫌韓流へと流れるのでは、それもまた痛々しい。

言うべきことははっきり言う。言わないと決めたことは言わない。

そうすることによって、日韓関係をめぐる様々な「怪談」(双方の不勉強ナショナリストがいい広めるトンデモ)が、少しでも是正されたらいいと思う。
先日も日韓通貨スワップの件で、すでに韓国に50000億円あげたという図も出回っていた。

これはフェイスブックに落ちていたのだけど、誰が作ったのかはよくわからなかった。通貨スワップに関しては私も「もうやめたら」と思うが、日本人の中には韓国をODA援助対象国だと思っている人も多く、そういう事実誤認は格好悪い。

いずれにしろ、これまでの日韓関係、特に政府関係はとても不正常だった。
70年代にはその関係は「日韓癒着」という言い方で批判もされたのだが、双方の当事者たちが亡くなったり、引退したりで、システムとしては全く機能しなくなっている。

今は、その関係を改めるチャンスだ。

日本も韓国も現状ではお互いなしでは苦しいところも多い。
韓流ドラマも双方の必要が市場を形成しているのだろうが、韓国側はいいかげんに日本にべったり甘えるのをやめるべきだし、日本側も韓流ドラマに頼らずに自らを鍛えるべきだろう。

観光客に関していえば、韓国は最近中国人の方がお金をよく使うので、日本人なしでそこそこやれるところにきた。金大中政権以降、よく頑張ったなと思う。

ちなみに関連記事では、やはり産経の黒田さんがリアル。さすが御大。相対主義が徹底している。私の周りでは人気ないけれど、やはり的確だと思う。
「まともな日韓関係のために」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120901/kor12090115210003-n1.htm


それに比べると、こちらの朝日新聞の元論説委員はいつの時代の話を書いているのか。とんちんかん。旧態依然の「上から目線」というのか。
反日に走らす『韓流経済』の深き“影”」
http://diamond.jp/articles/-/23993
これは、まさに今の野田政権のお話だと思う。


ところで、もっともウケたのは、こちら。
「大統領直筆碑の土台撤去へ 竹島に無許可設置」
http://www.47news.jp/CN/201208/CN2012082301001204.html
韓国人(特にビジネスマンや若者)も心底では、「閣下、もうお願いだから動かないで」という気持ちだろうか。