韓国で柴田トヨさんがブレイクしたことに関して

 
 今日、子供の迎えに行ったら、韓国人のお母さんたちが、柴田トヨの話をしていた。
「100歳のおばあさんで、すごくいいの。」
「私も読んでみたい。詩集なんて、もう何年も読んでないし」
「最初にざっと読んで、今、ちょっとずつ読み返している。心がね温かくなるの」

 日本ではすでにベストセラー作家である100歳の詩人、柴田トヨさん。韓国では昨年11月に処女詩集『くじけないで』、先週には第2詩集『百歳』が翻訳出版された。『くじけないで』は4万部、『百歳』は書店に並んだ日から1週間で1万部、詩集としては、最近にない大ヒット作となっている。
韓国人は詩が好きだ(った)。書店には必ず詩集のコーナーがある(あった)し、詩のタイトルを使ったカフェも多かった。と、書きながら、途中で過去形にすべきかな? と思った。私が最初に韓国で暮らした20年前とは違い、最近の韓国人は詩集などあまり読まないらいい。
「韓国で詩集? 売れませんよ。詩のコーナーももう大型書店にしかありません。ほとんどが自費出版で。刷っても普通1000部から、もっとも本そのものが売れません。ハウツー本でも初版は3000部からですから」 
 という環境で、柴田さんの「4万部は破格」だという話をしてくれたのは、この本の翻訳出版を企画した「知識旅行」の代表、尹熙六さん。さらに、「びっくりするのは、読者層のほとんどが50歳以上なんです。韓国で50歳以上は本を読まない世代なんです」とも。
 韓国で本を読むのは20〜30代、40代まで。50歳以上は、青春期はまだ貧しい時代で、本を読む習慣そのものがないのだという。
 そんな50代が本を買う。素朴な言葉をつづる行為に励まされる。日本だとこれが、「元気をもらう」という軽快な言葉で表現されるのかもしれないけど、韓国の中高年が本を読むことにはもっと重厚なイメージがある。韓国は儒教の国で、本を読むことは「憧れ」である。そこから疎外されていた人々の積年の思い。本を読むことは復権である。そこらへんは、日本人や韓国の若い世代にはなかなか理解されにくいと思う。
この人々から寄せられた、韓国語版の版元に寄せられた手紙は600通あまりにも及ぶそうだ。こんなことは過去になかったと、尹さんは言っていた。

こちらはソウル市中心部にあるビルの電光掲示板に、柴田さんの詩が掲載された記事。

교보생명, 시바타 도요 시 광화문 글판 게재
2011.08.29 16:31

http://biz.chosun.com/site/data/html_dir/2011/08/29/2011082901665.html

있잖아, 힘들다고 한숨짓지 마. 햇살과 바람은 한쪽 편만 들지 않아.’

교보생명은 서울 광화문 교보생명 빌딩 전면에 게시하는 이른바 ‘광화문 글판’의 가을편 문구로 일본의 시인 시바타 도요(柴田トヨ)의 시 ‘약해지지 마’에서 발췌한 시구를 선정했다고 29일 밝혔다.
교보생명 관계자는 “힘든 때일수록 좌절하지 말고 긍정의 힘을 믿자는 뜻”이라며 “고단한 현실에 지친 사람들에게 용기와 희망을 주고자 이번 문안을 선정했다”고 말했다.
교보생명 광화문 글판 가을편은 광화문 본사를 비롯해 강남 교보타워, 천안 연수원, 부산, 대전, 광주, 제주 등 전국 7개 지역 교보생명 사옥에 오는 11월 말까지 게시될 예정이다. 교보생명은 지난 1991년부터 빌딩 전면에 좋은 시를 위주로 글판을 게시해왔다.