韓国で「日本製の食品添加物からセシウムを検出」

「日本の輸入食品のセシウムを検出」の話だ。

日本マスコミの及び腰発表にくらべ(今頃、メルトダウンがわかったというあたり。いろんな学者が3月の時点で言っていたのに、大手は大本営発表を待って報道するから…)、
韓国は勇み足すぎて誤報が多いので、字づら通りに信じちゃいけないのが原則。ただ、最近は中央日報のトンデモ記事が日々、日本語配信されるおかげで、みんな「韓国メディアリテラシー」ができたよう。いいことだ。

たとえば、この記事。日本の食品添加物から放射性セシウムが検出されたという話だ。

韓国の日本産食品輸入85%減、放射線検査強化で
2011/05/12【ソウル12日聯合ニュース
食品医薬品安全庁は12日、今月の日本産食品の1日平均輸入件数は30件で、前月の197件に比べ84.8%減少したと明らかにした。輸入量でも今月は1日平均75トンと、先月(293トン)より74.4%少なかった。農林産物は今月1件も輸入されていない。

(中略)

  一方、食品医薬品安全庁は、最近日本から輸入されたアルギン酸製品1件から、1キログラム当たり41.9ベクレルの放射性物質セシウムが検出されたと明らかにした。基準値(370ベクレル)は超えていないが、輸入業者が自発的に全量(1000キログラム)を日本に返送することを決めたという。

 同庁は現在、携帯用機器で放射性物質露出量を10秒間検査する定性分析を行い、1キログラム当たり5ベクレル以上が検出された場合は輸入品を返送するよう勧めている。


(中略)

  同庁関係者は、これまでは日本からの輸入食品全量の簡易検査を行った後、放射性物質検出の有無により精密検査を実施してきたが、今月からは輸入量が減ったことを受け、全量に精密検査を行う方針だと説明した。

私にとってこの記事が重要だったのは一点だ。
このアルギン酸というものが、海藻類から抽出するものであり、そこから放射性物質が検出されたという点。
日本では現在、海藻類の放射のチェックはされておらず(グリーンピースはしているけど)、むしろ海藻はヨウ素を含むために、放射能の予防効果があると信じている人もいる。

ただ、韓国政府の対応に対して、ブログなどで批判している人もいる。

また、韓国の輸入業者の対応もよろしいものとは思えません。
今回の値は、韓国の規制値である370 Bq/kg未満でありますし、
添加物として使用するということを考えると、アルギン酸由来で放射性物質を大量摂取することはありえないのですから・・・。

いわゆる「基準値以下だから無視していい」という考え方だ。
でも、放射能汚染は「足し算」だから無視はできない。だから、どうしても必要でないかぎり、「足さない」に越したことはないのが原則だ
ただ、これは放射能に限らず、他にも保存料など発がん物質などもリスクはあるので、放射能を避けようとするあまりに、原発事故以前の古いものばかり食べればいいということにもならないだろう。


それはともかく問題は、海藻の汚染にどう対処するかということだ。今回、韓国から返送される「食品添加物」の製造工場は千葉県だという(食品庁に電話してみたが、それ以上は教えてくれない)。
原料の海藻はどこでとれたものか?
それを特定するまでもなく、周辺海域で生息したものは、もう多かれ少なかれ汚染されるしかない。
「海藻はそのままでも食べられるが、ゼリーやヨーグルトなど子供向けの食品添加物となるので注意が必要」という韓国政府やグリーンピースの警告には、関心を持たざるをえない。

ところで、上記のブログでは、こんな突っ込みもあった。


さて、ここで気になったのが元ニュースの内容。
携帯用の分析機器で、放射性セシウムを特異的に感度良く測定できたっけか・・・?
(携帯用のレベルでは、グリーンピースの報告のように、核種を特定できないはず)

しかも、たったの10秒間の測定で5ベクレル測定するというのは、現在存在している分析機器では不可能な気がする・・・。
(この辺の事情詳しい方がいたら、教えてください)

韓国のニュースに接していると、いろんな「分野」で特定が早いので驚くが、それはともかく簡易検査の内容がよくわからない。

ただ、現実的にはヨウ素半減期が短く、また海藻にはもともとヨウ素が含まれているため、放射性ヨウ素が蓄積しにくいことが考えれば、放射線が検知されれば、そこに含まれるのは放射性セシウムだという推定は成り立つ。

いずれにしろ、今後、原発は地下水と海、そして食品汚染による内部被ばくが問題になってくる。

小出裕章さんは、「食べるものがなくなってしまう。私ももうどうしていいかわからないのです。子供を守るしかない。だから私を含めて、大人が食べるしかありません」と。原発を止められなかった、日本に住むすべての大人の責だという。生産者だけに、その痛みを負わせてはいけないという意味だ。