統一へのヌッキム

これはいわゆるヌッキム(日本語でいう「感じ」、ちょっと違うけど)なのだけど、意外に南北統一は近いのではないか、という話が出た。友人との話なのだけど。

韓国で暮らしてはや20年、これまでも大なり小なり戦争の危機や、統一機運の盛り上がりなどもあったけれど、私自身がこの目で統一朝鮮を見られるかもと思ったのは、今回が始めてた。

根拠がはっきりしているわけではない。
もちろん、北の政権がもたないのはおそらく間違いないだろう。いくらなんでも、あの三男につがせるというのは、党幹部や海外の支援者も納得がいかないのではないか。

もっとも北朝鮮国内には言論の自由がないから、せめて日本あたりから、「反キン・ジョンウン」の狼煙が上がるかと期待もするが、みんな朝鮮学校を巡る民主党政府の優柔不断な態度や、レイシスト右翼との不毛な争いに振り回されていて、北の民主化に具体的は貢献はできないようだ。
結局、北の民主化は長男キム・ジョンナムと北京あたりが担当するのだろう。

韓国の報道が浮き足立っているのは、今回のウィキリークスが抜いた、中国高官は「韓国主導の統一を中国高官が容認した」という報道だろう。

ガーディアンがネット上に掲載した今年2月22日付のソウルの米国大使館発の公電によると、韓国外交通商省の第2次官だった千英宇(チョン・ヨンウ)氏(現・大統領府外交安保首席秘書官)が同17日、米国のスティーブンス駐韓大使と昼食をとった際、6者協議の韓国首席代表当時の中国側との私的会話のなかで、中国政府高官2人が「朝鮮は韓国の管理下で統一されるべきだと信じていた」と説明。千氏は、北朝鮮が米国の影響力を緩和する「緩衝国」としての価値をほとんど持たなくなったという「新しい現実」に中国は向き合う用意がある、とも語った。

http://www.asahi.com/special/08001/TKY201011300202.html

中国が北というカードを手放す可能性がある!
つまり、統一できるかもしれない!

もっとも、この報道自体は千英宇氏の「私的会話」と主観的な意見で、それほど情報的価値があるとも思えない。ただ、北の変化を韓国人と中国人が意識し始めるというのはとても大きいことに感じる。

さらに、これまで韓国人が「統一は難しい」と感じていたのは、自分たちの経済力がかつての「西ドイツ」に及ばないという認識だった。でも、どうだろう? 90年代ならともかく、今の韓国、そして中国の国力をもってすれば、北を軟着陸させることは、十分に可能だと思う。

実際に、北が開けば、韓国人と中国人の「金持ち」は、ものすごい勢いで、北の不動産に投資を始めるだろう。平壌、開成にアパート、金剛山にリゾートマンション、友人は冗談で「大同江」にホテルでも建てるかと言っていた。
うぶな北朝鮮の人々はまたたくまにやられる。
しかし、うまくやれば、きちんとしたお金にできる。
韓国人は北の人の面倒が見られるかという。でも、機会さえちょっと余分に与えれば、もともとは勤勉な民族だ。2世代目あたりで、ソウル大卒のエリートが必ず生まれるだろう。

もちろん、これは夢想にすぎない。
変数は山のようにある。戦争、そして北の核、そもそも中国・韓国主導の統一を、米国がそのまま容認するか。ただ、中朝VS米韓という構図は、米国の戦略であり、韓国は歴史的に見ても極めて流動的た。

でも、統一朝鮮が見られるかもしれないというワクワク感が、歴史を前にすすめるかもしれない。