米国こそが戦争の当事者だった

日本のある新聞社から26日、電話でインタビューされた。
「今のソウルの状況はどうか?」

日本の報道から見ると、韓国の人々が「脅えたり」「怒ったり」、多少パニックているコメントが必要なようだが、残念ながらむしろ日本人の方がナーバスになっているようだ。
「みんな落ち着いていますよ」
釜山に逃げる人がいるわけでもなく、市場に食料を買いだめする人が押し寄せるわけでもない。

「慣れているからでしょうか?」
内戦が勃発して60年、慣れるといえばそうだろう。それに人々は日常を生きるのに忙しい。会社、学校、家庭、何も停止することはできない。
ただ、有閑階級のみいつものように、自分たちだけの逃避路を確保しているだろう。手持ちの外貨や金を確認する。よって、ウォンが下がり、金の価格が上がる。彼らの多くはすでに米国市民権を得たり、外国に不動産を持ったり、「疎開先」は確保してある。

ところで、インタビューの中でちょっと驚いたのは、南北統一をめぐる話だ。
「それでも韓国の人々は統一を望んでいますよ。もちろん、すぐとは言いませんが」と言ったら、「え、そうなんですか? 韓国人は統一したいと思っているんですか?」

そうか、日本には韓国と北朝鮮をまったく別に考えている人たちもいるんだろうな。
でも、韓国の人にとって民族統一は悲願だろう。もちろん、すぐの統一は負担になると思っている人はいるし、若者は冷めているのも事実だ。でも、だからと言って、永遠の分断を望んいる人などいないだろう。
そもそも10年前、南北首脳北会談が実現した時だって、もっとも興奮したのは、それ以前は統一に関心がないと言われていた若者たちだった。

そのインタビューのあと、韓国人の友人たちを家に招いて食事をした。あえて、話題をそちらにふってみた.

北朝鮮は民族の恥、戦争してでもつぶすべき」
「戦争? 戦争はダメでしょう]
「でも、戦争しか統一の方法はないと思う」
民族意識の強い人は、時に強硬論を語る。無理しても統一した方が、国力のアップにつながるともいう。

「戦争までして、北をつぶしてまで、無理に統一することはない。問題は北の体制だ」
「3代世襲はあり得ないだろう。北は民主化しなければ。統一はその後の問題だ」

その時、北が遺憾の意を表明したというニュース飛び込んできた。北朝鮮朝鮮中央通信は27日、韓国・延坪島への砲撃で民間人二人が死亡したことに初めて言及し「事実なら至極遺憾なこと」と論評で表明した。
「北は遺憾の意とはちょっと驚きだ」
ジョージ・ワシントンまで出てきたから、慌てたのだろう」
「金父子が一番恐れているのは、米国のピンポイント攻撃だろうから」
「たしかに米国は凶暴だから。これまでも演習から本番になだれこんだことがある」
「それに、あの親子がピンポイントで抹消されるのは、中国にとってもありがたいかもしれない」
「たしかに、中国は北朝鮮の存在は重要だけど、別に金正日や、まして金正恩である必要はない」
「いざとなったら、中国は長男・正南を持ち上げるだろう。そうして、ゆっくり民主化させる」
「その役割を韓国はできないのか。自分たちはどうすればいい?」 
「きちんと税金を収めるだけさ。国に金がなきゃ、なんにもできない」

ところで、話していて疑問が出たのは、北の砲撃を米国は知っていたのではないかということ。軍事衛星もあるし。
米国としては、ジョージ・ワシントン黄海に入れたかった。放置したのは、その口実がほしかったからかも。たしかに、今回米韓はかなり予定稿のような行動をみせている。一番、あわてているのは中国。
なるほど、朝鮮戦争北朝鮮と米国の戦争だったことを、あらためて思い出した。