西海5島、住民続々脱出

韓国のメディアによれば、28日から始まる米韓合同演習を前に、延坪島を含む西海5島の住民が、続々と脱出を初めているという。
http://www.mediatoday.co.kr/?270922

すでに仁川市は砲撃のあった23日に、西海5島の住民は約5500人への退避命令を発令している。韓国のテレビは避難民の様子を映し出している。仁川にあるチムチルパン(韓国サウナ)が臨時避難所になっているが、人々はまさに着の身着のままで逃げてきている。
「もう島には戻りたくない」というおかあさんと娘がいれば、「いや、島に戻らなければ」というお父さんもいる。
一方、砲撃のあった島に今も残る老人は、「ワタリガニ」が心配だと言っていた。そう、ワタリガニがこの5島の人々の生計を支えている。韓国人の大好きなカンジャンケジャンの材料だ。

こんなニュースを見ながら韓国の人々は、「よく、あんな危ない島に住んできたね」と驚く。今回の事件であらためて、あの5島が北朝鮮の間近にあるのを知った人も多い。もっともそのセリフは、外国人から見たら韓国に住む人々全員に与えられるかもしれない。
「よく、あんな危ない国に住んでいるね」

とはいえ5島は他の地域とは違い、戦争がもっとも起こりやすい地域として、行政上の特別な扱いがされてきた。
ただ、そこで暮らす人々は別にそれを志願したわけではない。先祖代々の土地だから住んでいるだけ。これは世界中の紛争地に住む大多数の人々とまったく同じ事情だ。したがって、ことが起きればオロオロする。だから、軍や行政には住民に対する緻密なケアが必要となる。今回の事件では、それが十分ではなかったことも指摘されている。、

そもそも、5島が具体的な攻撃目標となることは、すでに予想されていた。軍関係者は今年5月の時点で、「天安艦の次は西海5島…北側はすでに準備を終え」と発言していた。

西海5島の占領は、金正日が2012年の強盛大国完成のためかなり前から準備してきたもの」とし、「北韓はこのため昨年の1月からNLLの無効化宣言、南北政治-軍事合意事項の無効化、地対艦/艦対艦ミサイル発射、西海5島へ出入りする艦艇への安全不保障宣言、大青海戦の挑発および2010年1月の海岸砲/長射砲のNLL海上への射撃などの手順を歩んできた。

http://gendaikorea.com/20100510_03_hon.aspx

また、この記事には、韓国国防研究院(KIDA)の昨年12月の報告もある。そちらも同様に西海5島への攻撃シナリオに言及している。

北韓が地対艦ミサイルや海岸砲で攻撃してくるとわが軍も艦対地や地対地ミサイルで反撃するしかなく、地上戦に飛び火する可能性も少なくない」と報告した。また「北韓が対南全面戦争の決定は容易ではないが、西海での局地戦は状況によって挑発できる


韓国の人々の多くは、まさか南北間の全面戦争が起こるとは思ってはいない。せっかく息子を跡取りに決めた金正日が父子心中をはかるとは思えないということだ。特に米軍まで巻き込めば、ピンポイントでやられるかもしれない。中国は北朝鮮の存在は必要だが、それを率いるのが必ずしも金正日父子である必要はない。

いずれにしろ、韓国の人々は落ち着いている。
1994年の「ソウルを火の海に」と言われたあの時と比べても、街は落ち着いている。
「戦争が起きる前に酒でも飲もうか」
「どうなるかわからないからワインパーティーでも」

私も周りも、みんなのんびりしている。