北朝鮮の砲撃に関して

「ソウルは怖いので、釜山に疎開します。」
昨日の砲撃はひどかった。以前だったら、こういう人、多かっただろうな、亜現金もってソウルを脱出する・。

想定してもしょうがないけど、軍事政権時代だったら、徹底報復で今頃戦争状態。今回の北朝鮮の行動は明らかに休戦協定違反だから、米軍だって韓国政府を止められなかったかもしれない。もっとも、だから、あの時代は軍事統帥権はがっちり米軍がもっていたのだけど。

今の韓国は、軍事政権から民主政権に変わり、さらに軍事国家ではなく経済国家として機能している。
よかったと思う。抗戦も疎開もできない。ソウルはすでに韓国人だけのものではないし。ソウルが止まれば、あるいは仁川空港が閉鎖になるだけでも、数日間は世界のいろんな人々はかなり混乱するはずだ。
60〜70年代の強面時代の韓国とはちがう。

ただ、ソウルの機能が止まることは、日本人が考えるほど、韓国人にとって深刻なことではないかもしれない。(東京の機能が止まることに比べたら)。すでに韓国人は頭脳も資産も世界に分散させている。
100年間の植民地、60年間の内戦状態(休戦であるにしても)で、「疎開」や「避難」の習慣を人々に身につけている。
朝鮮半島の歴史は、彼らをどこの国に行っても生きていける人々にした。 (韓国政府によれば、「在外同胞」は700万人)。

 李明博大統領は、この時期にして、過去の大統領の中ではもっとも支持率が高い。
今回もかなり毅然としており、かつ現実的だったと思う。

北朝鮮砲撃:李大統領「事態の悪化防ぐ措置を」
 李明博(イ・ミョンバク)大統領は23日、延坪島に向けた北朝鮮による砲撃について報告を受け、「断固として対応するも、事態がこれ以上悪化しないよう、しっかり管理するように」と指示した。
 合同参謀本部は民間人の被害をめぐる懸念について、「民間人の避難は完了した」と李大統領に伝えた。
 また、韓国軍兵士4人が負傷したとの報告を受け、李大統領は「治療に万全を期すように」と指示した。
 合同参謀本部は「わが軍の護国訓練を言い訳とした、北朝鮮による局地的挑発とみて、事態がこれ以上悪化しないよう、緊急通信文を(北に)送った」と李大統領に報告した。

http://www.chosunonline.com/news/20101123000075
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101123-00000659-yom-int

北からの砲撃が終わったあと、軍と政府は国民の「怒り」を抑えることになった。「報復」(つまり北を攻撃しろ」という声も年配層を中心に少なからずあるが、韓国が北朝鮮と同じこと(民間人の住む村に砲撃)をすれば、戦争になる。
そうしたら、米国も動かざるをえず、また中国もイヤイヤながら北朝鮮を支援しなければならない。
そうなったらサイアクだ。

一方で「またしも民間人が攻撃されたら徹底抗戦する」というのは、あたりまえ。国民を守るのが、国軍の義務だ。

今回の抗戦での死傷者はほとんどが19〜22歳の、兵役についたばかりの子(一人の遺影などは、まだ本当の子供みたい)たちだった。亡くなった二人は19歳と22歳、入ったばかりの子ともう少しで出られる子だったらしい。文字通りの、国家の領土と民を守っての殉死となってしまった。
除隊のことだけ考えて暮らしていただろうに。

切ない。