狎鴎亭

ソウルにできた初のセレクトショップ 10コルソコモのホームページ。

http://www.10corsocomo.co.kr/

ここで使われている音楽がとてもよく、昨日はずっと聞いていた。
先々週、仕事で会ったある俳優さんのおすすめ店で、ぜひ、一度行きたいと思っている。狎鴎亭のファッションの最先端。日本は青山に同じ店があるらしい。

それにしても、狎鴎亭って、もうソウルじゃないな。上に突き抜けた感じ。突き上げているのは、韓国の富だけじゃない。中国、いや中国人の富も一緒になっている。
「お金持ちの中国人」
今、この人達が世界を、少なくともアジアを、手玉にとっている。まあ、この話は後ほど。

狎鴎亭のことなんだけど、ここはソウルじゃないと書いたけれど、考えてみたら狎鴎亭こそが韓国なのかもしれない。
富、見栄、嫉妬が堆積した街。それは富める側の韓国の象徴だ。

韓国で富める側と食いつめる側の対比が顕在化したのは、ソウルオリンピック以降、90年代に入ってからだ。その頃、空前の大ヒットとなった「地下鉄1号線」というロックミュージカルは、その両サイドの街をつなぐ地下鉄を舞台にしていた。

ミュージカルを作ったのは、キム・ミンギという元フォーク歌手で、70年代には民主化運動のシンボルとなった人だ。かれらにとって民主主義が達成された後の課題は、民衆、そして民族。それは南北融和志向の社会民主主義政権だった盧武鉉政権につながっている。

「地下鉄1号線」には、乗客として「狎鴎亭アジュンマ」が登場する。成金趣味の金持ちは、ひたすら醜悪なものでしかない。一方で中国から出稼ぎに来た朝鮮族の少女は無垢で純粋な存在として描かれていた、

今、狎鴎亭に行くとこの「少女」がいる。ただし、朝鮮族ではなく、韓国生まれの韓国人だ。
コーヒー一杯の価格が8000wの街で、時給3000wで働く。ハンドバッグ一つが300万wの店で、月給100万wで働く。

しかし、この少女は無垢でも純粋でもない。もっとギラギラしたものを秘めている。彼女たちを見ていて感じるのは「闘争心」。ぜったいに負けない。成功してみせる。
その成功が単に経済的なものをさしていないのが、これまた狎鴎亭という街の色になっている。
そうして思い出したのが、ずっと昔、少女漫画で読んだニューヨークの風景だ。オフ・オフ・ブロードウェイあたりのダンサーの物語だった。

そんな狎鴎亭という街。そこから生まれるのが、たとえば「少女時代」だ。