韓国ドラマ「ジャイアント」

東京新聞朝刊掲載のコラム。今月はドラマ『ジャイアント』だった。↓


円高日中関係のこじれで漁夫の利? 
最近の韓国は輸出も順調で、なかなかの好景気だ。そんな中で人気を博しているのが、ドラマ『ジャイアント』。韓国の高度経済成長の秘密を描いた、久々の男性向け硬派ドラマだ。

タイトルは米国映画『ジャイアント』を意識している。ジェームス・ディーンが演じた主人公はテキサス開拓を通して石油王となったが、韓国のそれはソウル江南地区の開発を背景にしている。今やセレブの街として韓国の富を象徴する江南地区だが、1970年代以前はペンペン草の生える広大な荒地だった。

主人公は父親を殺され、母親も事故で亡くした孤児だ。その成功物語といえばありがちだが、ドラマは私たち日本人の想像を越える。朴正煕、全斗煥と二代続いた軍事独裁政権下での経済発展とは、こんなにも野蛮で暴力的だったとは…。軍部と情報機関と政治家という三位一体化した権力は、無慈悲で、さらに貪欲だった。

貪欲さは経済発展のエネルギーとなる。しかし、それは「努力すれば報われる」ような、甘い世界ではない。不正、汚職、暴力、それでも最後は正義が勝つとドラマは訴える。視聴者はそこに溜飲を下げるが、内心は懐疑的だ。

韓国はこうして発展した。中国も同じかもしれない。そんな経験をした人たちと同時代を生きるのは大変なことだと、あらためて思う。
(舞かなこ)

コラムは字数制限があるのでここまでだけど、実際、大変なのは日本人だけでなく、今の韓国の若者も同じだ。
海千山千の親世代とは違って、ものすごい温室育ち、マニュアル主義。
幼少児からの競争を勝ち抜いて、米アイビーリーグに進学したり、サムスンやLGに入る超勝ち組の若者以外には、現在もまた辛い時代だろうね。 自殺者が多いのも無理ない。世代ギャップが100年ぐらいある。

ギャップといえば南北間は500年? あのコスプレ金日成。 国全体がまるごとユネスコ世界遺産…。いや、アンディ・ウォーホールがびっくりして生き返るかもしれない。

ところで、このドラマに出てくる恋愛がとてもいい。 ギャーギャー言わずに、お互いを思いやる。 それと、主役のイ・ボムス。 韓流スターのようにきらびやかでも、マッチョでもなく、小柄で無口。 好きな女を命がけで守る姿は。古い日本漫画「愛と誠」を思い出します。