パク・ヨンハのこと

 パク・ヨンハ、可哀相。いつから辛かったのかなあ。彼も冬ソナで人生が変わってしまった一人だ。何か間違っているのは、本人も気づいていたと思う。どこに自分がいるのかわからなくなっていた。ナイーブな人だった。

日本の報道見ていたら、当初は「末期ガンの父。看病疲れ」って。これ違う。日本のコメンテーターは自分のイメージで語るから。事前学習の時間も与えられていないから仕方ないけど、でも 「儒教の国」「看病疲れ」という単純な話ではないだろう。日本のワイドショーって、見ている側が恥ずかしくなる(それを狙っているのかな?)。岡田監督に対する手のひら返し評価にもそうだったけど。でも、いいよね。この突き抜けるような軽さ。

 そこでスポーツ朝鮮の記者が出てきた。「マネージャーの裏切り」「日本とアンバランスな韓国での人気低迷」「兵役拒否に対するバッシング」。

 これでしょうね。韓国のブログでは恋人問題にふれたのもあったけど、そちらちょっとわからない。なかでも決定的だったのは、マネージャーの裏切りたったと思う。韓国の人って他人をすぐ信じて、そして軽く裏切られるから。だから結局、信じられるのは家族や身内だけということになる。

 パク・ヨンハも当初はお父さんががっちり守っていた。韓国の父は強いから、命令には絶対服従。(儒教という言葉を出すならここだろう)。特にパク・ヨンハはそうだったみたいだ。

 そんなお父さんが病に倒れ、ブロックが外れてしまった。そうなるともうどう動いていいかわからない。ここにきて父親の手のひらの上で、甘えてきた自分に気づいたのだと思う。情けない。でも、どうしたらいいかわからない。自分で立とうと思ったのだけど、うまく立てない。何もかもがうまくいかない。

 若すぎたと思う。日本の芸能界と韓国のそれをうまく渡り切るには。

1977年生まれ
1994年 17歳でテレビデビュー
2002年 24歳で「冬ソナ」の大ヒット
2003年 25歳で「日本で」歌手デビュー

 そういえば、この頃、韓国でも話題になっていた。「パク・ヨンハが歌手だって?」
 韓国人の多くが驚いていた。しかし、日本の「芸能界」はそのまま突き進んだ。「歌手パク・ヨンハ」はそれなりの集客能力があったのだろう。

 おそらく、パク・ヨンハほど日韓で温度差のあるスターはいなかった。ペ・ヨンジュンチェ・ジウにしても、温度差はあるのだけど、二人は「日本で人気のスター」という看板をうまく利用することができた。国内で映画やドラマがヒットしなくてもジタバタしない。
「私は国際スターなのだから」
それが計算されたものにしろ、鈍感がなせる技にしろ、悠然としている。

 ところで、パク・ヨンハはそうはいかなかった。

よく似たタイプといえばリュ・シウォンだろう。彼もずっとオヤジに守ってもらっていたし、韓国では「はあ〜、彼が歌手?」と言われる。そんなリュ・シウォンがコンサートでパク・ヨンハを「本当の弟みたいに思っていた」と言っていたけど、それは確かにそうだろう。でも、今の若い韓国人男性はちゃんと「兄弟」ができない。「口だけ」というよりは、「気持ちだけ」。彼らの親の世代は「兄弟」や「友人」のために身上を投げ出したのだけど。

もっとも韓国人の自殺は、その多くが「衝動的」だから、友人などがホローする間もない。(前大統領もそうだったし)。お酒を飲んだ勢いってのも多いね。うつ病だったという話もあるけど、精神医療は日本以上に未発達だし。そういうことは、また後ほど。

それにしても、毎回、誰かが亡くなるたびに、淋しいし、なんか、悔しい。