西洋と日本の植民地支配

こういうのは、「下手」だなと思う。
太平洋戦争中に朝鮮半島から徴用され、日本企業で働いた韓国人に厚生年金の脱退手当金として99円が支払われたという問題。

「99円!?」

長い間の訴えと運動、日本の年金関係者の作業、その結果がこれ。

「バカにすんな」

と思うのが、一般人の普通の感情だろう。いくら「お役所仕事」とはいえ、対外的なイメージもあることだし、もう少し色をつけた対応ができないものか。
日本が戦争直後の貧乏国でないことは、世界中の人が知っている。法律的には根拠がなくても、「対外イメージ維持費」を外務省の国際交流予算からねん出するとか、方法はないのだろうか?


韓国政府もこれを外交問題にするつもりはないとしながらも、「国民感情を配慮した」うえでの、「誠意ある措置」を期待している。

http://www.asahi.com/international/update/0122/TKY201001220371.html

日本との温和な関係を望んでいる李明博政府としては、こういうことで反日感情が高まるのは困るだろう。

それにしても、日本は対外イメージ作りが下手だなと思う。
企業もそうだし、国もそう。実質よりも、ずいぶんマイナスのイメージが伝えられていると思う。真面目すぎるのがいけない部分もあるし、大事なところでかたくなになるところもある。

前回ふれた従軍慰安婦問題などもそうだろう。
オランダの被害者の主張はもっともだが、なら、オランダが人がそこ(インドネシア)にいた問題はどうなるのか?
欧州の植民地責任はどうなるのか?
という反論もできる。何しろ、日本は欧米の植民地からアジアを解放するために戦争を起こしたのだから。
ところが、残念なことに当事国インドネシアでは、今なお、「オランダより、日本の方がひどかった」という記憶が語られ続けている。
たとえば小学校の教科書『社会科・インドネシア国史2・小学校5年生用』にはこんな記述がある。

「日本がやってくることによって、オランダ植民地時代に受けた犠牲はなくなるどころか、むしろ非常に悪化したということである。日本は民衆を苦しめる行動を次々ととった。そうした残虐行為には次のようなものがる。(以下、強制労働、食糧収奪、処罰などの記述が続く)

350年にも及ぶオランダ支配とわずか3半年の日本の占領。緩やかな搾取と、第2次世界大戦末期の軍国主義日本のサイケデリックな姿が比較される。
「あの頃の日本軍、日本人は正常ではなかった」と異議申し立てをするには、あの時代の狂った自分を心から嫌がる態度が、戦後の日本政府から発信され続けなければならない。
そうしないと、いつまでも「日本人は実は残虐」というイメージは払しょくできない。
国益主義者はもっと合理的に考えるべきだと思う。


以下、朝日新聞の記事。


韓国、日本に「誠意を期待」 強制徴用者99円年金手当2010年1月22日21時30分

 【ソウル=牧野愛博】太平洋戦争中に朝鮮半島から徴用され、日本企業で働いた韓国人に厚生年金の脱退手当金として99円が支払われた問題をめぐり、韓国の柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商相は22日の記者会見で「日本政府の誠意ある措置を期待する考えを伝えた」と語り、日本側に外交ルートで善処を求めたことを明らかにした。

 柳外相は「勤務時間によっては、金額が非常に小さくなる」と説明。そのうえで「金額の問題ではなく、国民感情への様々な配慮が必要ではないかという立場を伝えた」と述べ、日本側に対して受給者の納得がいく解決への協力を求めた。ただ一方で、外交問題として取り上げる考えがないことも明らかにした。

 一方、昨年末に社会保険庁から99円を受給した韓国人7人(うち2人は死亡)は14日、支給決定を取り消して改めて妥当な金額を支払うよう求める審査請求書を東海北陸厚生局に提出した。支援団体関係者によると、審査結果に納得できない場合、訴訟も含めた対応を検討するという。

 また韓国政府は3月に、これまで4727人分が判明している厚生年金の加入記録を、日本側から一括して提供を受けることで合意している。日本側が提供する記録などから、働いていた職場や厚生年金の加入期間が証明された場合、社会保険庁に脱退手当金を請求する意思を持っている韓国人も相当数にのぼっているという。