お祭りという観光商品

 韓国で、陰暦の正月15日の山焼きで死傷者が出るという痛ましい事件が起きた。


火祭り行事で登山客4人、火を避けようとして墜落死
2月10日10時9分配信 YONHAP NEWS
【昌寧9日聯合ニュース】「正月テボルム」(旧暦1月15日)にあたる9日の午後6時20分ごろ、慶尚南道昌寧郡の火旺山頂上で火祭り行事を見物していた登山客4人が山頂から落ちて死亡する事故が起きた。また、10人余りがけがをした。
 カヤの束に火がつけられた瞬間に逆風が吹き、火が防火線を飛び越え、見物していた登山客がこれを避けようとして山頂から下へ墜落したもよう。警察は死亡者の身元確認作業を進める一方、事故の正確な経緯を調べている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090210-00000013-yonh-kr

 たまたまYahooで見たせいか、コメント欄の情けなさにまずはげんなり。韓国関係の記事のコメントって、どうしてこう幼稚になるのだろう。韓国が幼稚だからとりまき(嫌韓の人々)もそうなる? のかもしれないが…。

 それとは別に。「祭りに犠牲者はつきもの」という冷めた意見もあった。たしかに、うちの田舎の祭りでも、昔から手筒花火では事故が多かった。手がふっとぶ危険――があるからこそ、それに挑むという興奮がある。実際に、命がけという祭りも少なくない。さらに人間が犠牲にならずとも、わざわざ動物を生贄にする祭りなども世界にはある。
 伝統社会における祭りとは、非常に重い意味があったのだと、あらためて思う。

 そのうえで、韓国政府や地方自治体が最近やっている観光商品としての「祭り」開発には非常に危ういものを感じる。韓国観光公社のホームページなどを開くと、一年中さまざまなところで「祭り」が開かれているが、その多くは1990年代に新設されたものだ。中には「伝統復活」という言い方もされるが、そんなに精密なものではない。
今回、事故があった昌寧郡火旺山の山焼きも1995年から始まった行事である。
http://tour.cng.go.kr/03festival/06_01.asp

 韓国が祭りを観光商品として開発したのは、日本の祭りへの憧憬があったからだ。日本と違って、血族共同体が中心だった韓国では、祭祀はあくまでも同族内のもので、地域共同体に定着している形式は非常に少ない。
 日本にように華やかで楽しそうな祭りをやってみたい。それが90年代の地方自治開始と重なった。いまはそうして、どこの街にも祭りがある。(もっとも、祭りにあこがれる人々は韓国だけではない。日本国内でも新興の住宅地などでは、おみこしや打ち上げ花火などで、新しい祭りをつくったところが多々ある。)

 それにしてもこんなに痛ましいことになるとは…。
 あとで見ると、確かに危ないなと思うが、誰かに誘われれば、私だって行っていたかもしれない。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090210-00000027-yonh-kr