韓国はまだ植民地?

昨日のこと。
ものすごく暑くて、晩御飯のおかずが思い浮かばない。冷奴でも…と思って、うちの目の前にある店まで出かけた。家の前の路地に人が集まって遠巻きに何かを見ている。車が止まっているし、事故っぽい。

ヒュンダイの高級バンは見たところ無傷。その横の小型バイクは古傷は多いものの、事故ではない。さて? と思った瞬間、ものすごい怒声が…。
「イー、ヤンノムセッキ!」

顔を真っ赤にした50代の韓国人男性が、大声を出している。ものすごく形相だ。相手は小柄の白人。ヤンノムセッキというのは、白人に対するひどい蔑称だ。
白人男性は韓国語ができる人のようだ。どうも、カーブで彼が運転するバイクと車がぶつかりそうになった。「チョンチョンニカセヨ」(ゆっくり行って下さい)と彼が言ったところ、高級バンを運転していた韓国人男性がキレたらしい。

韓国人男性の暴言はすさまじかった。
そして、そのうちの一言は、彼はもちろん、通り過ぎようと思っていた私までを引き戻した。
「なんでお前みたいな野郎が、この町に住んでいるのか!(ここは韓国人の住むところだ)」
瞬間、白人男性はこの男に飛びかかろうとした。通りがかりの若い男性がそれを止めた。

韓国人男性は大声でわめき続けた。彼が車をどけないために、道路は渋滞が起きている。
「今、車はどけることなんかできるか!」
彼は暴言を続ける。

警察官がやってきた。二人に話をちらっと聞く。そのときに韓国人男性が豹変した。いきなり揉み手。それまでは、近所の老人にまで暴言を吐いていたくせに、警察官の前では借りてきた猫。
一方、白人男性は警察官に話をするのに聞いてもらえない。
見ていた女子大生と、近所の老人が「あの韓国人の男性がめちゃくちゃだった」と言っても、警察官は聞き耳を持たない。それどころか、老人に対して、「あんたは何の資格で、俺にたてつくんだ?!」と。
「目撃者でしょう!」
と、私が言っても、まったく無視。この警察官は何なの! 意味がわからない。
老人が独り言のように話す。
「恥ずかしい連中だ。外国人の前だというのに」

警察官は二人を連れて行った。外国人をものすごく威嚇する。民主国家の警察が?
「どうして? あの外国人は可愛そうだ」と女子大生と私が話していたら、近所のおじさんが「でもね」という。
「警察署に行ったら、反対になるんだよ。絶対に外国人が勝つ。韓国はまだそういう国なんだ、植民地なんだよ」

驚いた。そういうおじさんは40代半ば。韓国が植民地って? 「それは米軍の兵隊のことでしょ?」と言ってみたが、彼は「韓国人はアメリカ人には勝てないのさ」という。
この被害者意識があるから、過剰防衛する。
あの威嚇は防衛本能? 

ものすごく落ち込んで、家に帰った。
そこに友人から電話がかかってきた。
「米国産牛肉を食べに行こう。もう、バカバカしくて、やってられない」
友人は日本生まれの在日2世。といっても、韓国で暮らして20年以上になるから、もう「在日」というのも微妙だ。飲食店を経営している。今回の牛肉騒動で、もっと被害をこうむっている業種のひとつだ。それとは別に、ここに来て韓国の人々の間に溝を感じている。
「ここであえて米国産牛肉を食べに行くのが、僕の表現」
 温厚な彼にしては珍しく、興奮していた。

米国産牛肉の反対集会は、昨夜は全国同時に行われた。
ソウルだけで主催者発表50万人、警察発表5万人(毎回だけど、すごい誤差だ)。
そろそろ引くかと思ったのは、間違いだった。

「韓国はまだ植民地だから」
私は何もわかっていなかった。