[韓国グルメ」日本のひよ子

一昨日、知り合いのオフィスを訪ねたら、日本から小包が届いていた。内容物の欄には「SWEET」。おおー、おやつだ。差出人の住所は長崎。
「わーい、カステラだ!」と喜ぶ私を尻目に、知り合いは「カステラがこんなに重いはずない。そもそも僕なんかに…」とぶつぶつ言いながら、ビリビリとEMSの包装をやぶる。
中から現れたのはやっぱりカステラ、上品な包み紙がいかにも日本らしい。

松翁軒
カステラといえば文明堂しか知らない無知な私たちだが、調べてみたらこっちの方が古いらしい。創業は1681年。300年以上も続く老舗で、しかも明治23年(1900年)には、パリの万博で金賞をもらってるという。

知り合いはカステラに添えられた転勤の挨拶状を読みながら、「わざわざ韓国まで送ってくれて、なんて律儀な人なんだ」と後輩にあたる差出人を誉め称えながら、自分の人望を鼓舞している。
私は早くカステラが食べたくて、その話をうわのそらで聞いていた。

最近、韓国人にもっとも喜ばれるのは、日本のお菓子だという人が増えた。かつての定番である電化製品は、もう韓国製も遜色なくなっているし、日本人形や着物を喜ぶ西洋人のようなオリエンタリズムの志向も韓国人にはない。そこで、クイズ。成田空港のおみやげ店でもっとも売れるものは?



「ひよこ」だという。「ひよこ」人気が始まったのは、もうかなり前のことである。一時期、韓国でもコピー商品が出回ったが、訴えられたか、馬鹿にされたかで、消えてしまった。
不細工なひよこだったから、たぶん馬鹿にされたのだと思う。そういば、広島名産「もみじ饅頭」のコピーも出ていたが、こちらも形だけで漉し餡のまろやかさが出ていなかった。

とにかく、日本のお菓子はすばらしい。
私も最近は日本からくる友達のお土産はオヤツを頼んでいる。納豆やラーメンなどは韓国でも手に入る。そこで、オヤツ。和菓子もいいが私は洋菓子がいい。(小豆が苦手なので)。

ところでカステラをもらった彼の話が、さらに凝っていた。韓国人に喜ばれるのは日本の果物だという。特に柿と桃。彼は我がふるさとの次郎柿を絶賛してくれた。冬はあれを韓国人へのおみやげにするという。

ずっと前、東南アジアをふらふらしていた頃、日本のリンゴが高級品をして売られているのを見たことがあった。へえ〜と思ったが、今ではその他のものもいっぱい入っている。そういえば、中国で松坂牛を密輸入した人がつかまった。韓国でもコシヒカリを手に入れたい人が暗躍している。

先進国の多くは農業国である。アメリカしかり、フランスしかり、オランダしかり。日本も先進国なのだから、ぜひそこを誇りにするべきだ。先端技術やアニメもいいけどね。
日本はおいしいものが多く、人々の舌もこえている。
だって、イタリア料理だって、中国料理だって、韓国料理だって、世界でもっともおいしいところは、実は東京ではないかといわれるほどなのだ。