ろうそくデモとガテン系ストライキ

昨夜のロウソクデモは今朝まで続き、今も光化門には4000人ぐらいの人が残っている。テレビで見たら多くは若い人。今回の主役ともいえる40代と中高生はさすがに帰宅したようだ。

40代というのは386世代とよばれる人々だ。60年代生まれ、80年代に大学生で、民主化運動の主役を担った。その子供たちが今、中高生になる。影響がないことはないと思うか、必ずしも親子でデモに参加しているわけではない。
当初から中高生は自発的だった。父兄同伴ではなく、友達と夜な夜な出かけるのが楽しいのである。

昨夜の集会は平和的に終わり、これで変数(不測の事態による状況の急転)はなくなった。ここで仕事をしなければならないのは野党だ。総辞職した内閣に対して、立法府はどういう対応をしていくのか。
 野党議員の中にはデモに参加している人も多いが、そんなところに甘えていてはいけない。あなたちの仕事は議会だ。対立を深める一方の国民と政府の関係をどうするか。そもそも、米韓FTAは、野党が与党時代に締結したものである。
 与党は大きく仕切りなおさなければいけない、米国との再交渉だけでなく、政権首脳部の一新が必要になった。総理候補にはパク・クネも候補として名前が挙がっている。「パク・チョンヒの娘」というステイタスだけでなく、いよいよ彼女にも政治家として仕事が与えられるのであろうか。

政府をここまで追い詰める、韓国人のパワーはやはりすごいと思う。ただ、これまでも書いているが、私は大人数を集めて悦にひたるのは好きではない。今回のデモも警察発表が10万人なのに、主催者発表は70万人。60万人もの誤差はどこからでるのか…。
「中国人が混じっているんじゃないか」とネット掲示板で揶揄があったけど、大きいことがいいことだ的な「事大主義」(まさに!)はかんべんしてほしい。

 ところで、さらに韓国社会を揺るがすと予測されるのは、来週に予告されたトラック運転手たちのストライキの方だ。 すでに平澤、群山など一部の地域では、運送拒否が始まっており、物量の移動は普段の40%になってしまったという。港
 では本格的なストライキを前に、いつもは4段のコンテナと5段に積み上げて、輸送が止まったときの保管場所確保を始めているという。

米国という他国相手の牛肉問題とはちがい、これを解決する方法は簡単(ではないか…)。発注する企業が運送費を上げるか、政府が政策的(税制を特例にして)にガソリン代を下げればいい。

トラックがデモをすると大混乱が起きる。物流が止まるし、道も封鎖されて交通が麻痺する。さらにバスやタクシーが同調する可能性もある。彼らも燃料費の値上げで、収支が合わなくなっている。だから運賃値上げを認めてほしい。(ソウル市当局は「市民生活の安定のため」と、今のところ値上げを許可していない。)

ろうそくデモは、みんなで歌を歌ったり踊りを踊ったり、とても楽しそうだ。不満や怒りの発散としては、実に健全だと思う。コミュニケーションが生きている。私は行きたくないが、でも行かない自由がある。いやみではなく、韓国はいい国だと思う。

「日本にもこういう発散の場があれば、少しは陰鬱な事件が減ると思う」
 東京で暮らす友人の息子(高校生)が言っていた。彼は秋葉原の事件にとてもショックを受けている。