新しいアートの中心地

国立現代美術館ソウル館


  

2013年11月、計画から4年の歳月を経て景福宮の西側に新しくオープンした国立現代美術館ソウル館(MMCA)。展示室はもちろん、資料館、プロジェクト ギャラリー、映画館、多目的ホールなど複合的な施設が集まり、多彩な芸術ジャンルのコラボレーションを目指している。かつて国軍の施設があった広大な敷地、そこをアートの中心地として再出発させる。その心意気がまさにアート、感動だ。


現場製作設置プロジェクト Y0UNG-HAE CHANG HEAVY INDUSTRIES 

アートに出会う
 美術館で大事なことはまず入っているみることです。特に最近の美術館は、さまざまな「仕掛け」があって、「アートなどよくわからない」と思っても、十分楽しめるようになっています。通路を歩けば、そこに突然あらわれる作品の数々。それが、光を浴びたり、鏡に反射したり、見る時間、角度によって、形を変えます。それは作家の計算でもあるし、見る側の発見でもある。特に、MMCAではオープン記念として、3つの大型現場製作設置プロジェクトが行われました。
 その一つ目は、美術館の中心にある大型展示空間「ソウル・ボックス」に設置されたソ・ドホ氏の『家の中の家の中の家の中の家の中の家』です。現在の家の中の過去の家。繊細な青と窓から差し込む光の美しいコラボは、記憶を断絶の恐怖から救ってくれます。
 その次の出会うのはチェ・ウラム氏の作品『オペルトゥス・ルヌラ・ウンブラ(Hidden Shadow of the Moon)』。天井からつられた巨大機械生命体は、子供たちにも大人気です。
さらに海外での評価も高いアートユニット、「チャン・ヨンへ重工業」のインスタレーションは、第6展示室と倉庫ギャラリー、そしてそれらをつなげる階段と通路が3つの空間と作品化されました。

アートに参加してみる



アレフ・プロジェクト Scale Free Network

見て面白いなと思ったら、次は作品に参加してみましょう。最近の現代美術館、特にメディアアート系の強いソウル館では、インタラクティブ(参加型)の作品も数多く展示されています。絵画や彫刻などの完成品をただ鑑賞するというだけでなく、自らも作品に参加してみる。一緒に作品を創造するという試みです。
たとえばオープンから3月半ばまで行われた「アレフ・プロジェクト」という企画展では、建築家、デザイナー、エンジニア、微生物学者などジャンルを超えた人々が集まり、実験的なアート体験現場を創りだしました。顕微鏡の中のミクロの世界と光と影のコラボ、さらに見ているもの自身が影法師として作品に動きを添える。こうした試みには、子供から大人までが楽しく参加できました。MMCAでは、今後もこのような実験的なアートが、一般客を巻き込む形でどんどん作られていくでしょう。
 また、この美術館の特徴はそのロケーションにあります。西の入り口は景福宮、北の入り口は三清洞、さらに東側の入り口からは仁寺洞へとつながります。文化観光のハブ空間、高い塀と鉄条網に囲まれた軍事施設は、こんなにも柔和で豊かな文化施設に生まれ変わったのです。


参加型のアート作品も多い。