OECDによる幸福度調査ー日韓比較

OECDによる「国民の幸福度調査」の結果が新聞に載っていた。以下は読売新聞の記事。


国民の幸福度1位は豪州、2位カナダ…日本は?

【パリ=中沢謙介】経済協力開発機構OECD)は24日、各国の生活の豊かさを示す新たな指標「より良い暮らし指標」を発表した。

 国民の幸福度を国際比較することを目指しており、国民生活に密接に関わる住居や仕事、教育、健康など11項目を数値化した。11指標の平均でトップはオーストラリアで、カナダ、スウェーデンが続いた。日本はOECD加盟34か国中、19位だった。

 国の豊かさを示す指標には、どれだけ多くのモノやサービスを生み出したかを表す国内総生産(GDP)があるが、新指標は国民の実感に近い豊かさを示す狙いがある。

 日本は11指標のうち、殺人や犯罪の発生率に基づく「安全」が10点満点で9・7とOECD加盟34か国中トップ。だが、「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」はトルコ、メキシコに続くワースト3位だった。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110524-OYT1T01033.htm

このうち、私が気になる項目の評価について、日本の韓国の部分をOECDのホームページから抜粋してみた。

コミュニティ

人間は社会的な生き物である。したがって、他者との接触や人間関係の質が人間の幸福にとっての重大な決定要因となっている。
強力な社会的ネットワーク、すなわちコミュニティは、雇用、サービス、その他の物質的な機会へのアクセスを提供するばかりでなく、良いときも悪いときも精神的な支えになりうる。

<日本>

日本では、国民の90%が自分には必要なときに頼れる人がいると考えており、これはOECD 平均に近い。

過去1 カ月間で他人の手助けをしたことがあると答えたのは約23%で、これはOECD 諸国の中で最も低い値である。社会的ネットワークが弱いと、経済的機会が限られ、他者との接触がなくなり、最終的には孤立感につながりかねない。社会的に排除された個人は、社会の一員となって貢献することも個人的願望を果たすことも厳しくなる。


日本国民の15%近くが社会的環境の中で友人や同僚などと共に時間を過ごすことが「ほとんど」もしくは「まったく」ないと回答しており、この値はOECD 諸国の中で最も高い。

<韓国>

In Korea, 80% of people believe that they know someone they could rely on in a time of need, one of the lowest figures in the OECD.

韓国では、80%の人々が自分には必要なときに頼れる人がいると考えており、これはOECDの中でもっとも低い結果である。

Nearly 42% reported having helped a stranger in the last month, close to the OECD average however.

過去1 カ月間で他人の手助けをしたことがあると答えたのは、およそ42%。これはOECDの平均である。

生活満足度

幸福は、生活満足度、肯定的な経験や感情の存在、否定的な経験や感情の不在により計ることができる。これらの尺度は主観的なものであるが、生活の質を国家間で比較するための補足的な要素として
有益である。

<日本>

日本では、多くのOECD 諸国と同様に、自己申告に基づく生活満足度は過去10 年間で上昇傾向にある。最近の調査によれば、自分の生活に満足している人は40%であり、5 年後の自分の生活は満足のいくものであろうと考えている人は40%である。こうした将来の生活満足度の予測はOECD 諸国の中で最低水準である。
日本では、平均的な1 日に否定的な経験(苦痛、心配、悲しみ、退屈など)よりも肯定的な経験(安心、業績に対する誇り、喜びなど)をすることが多いと答えたのは68%である。この値は、OECD 平均の
72%を下回っている。

<韓国>

For Korea, like throughout much of the OECD, self-reported life satisfaction has been rising over the last decade.
韓国では、多くのOECD 諸国と同様に、自己申告に基づく生活満足度は過去10 年間で上昇傾向にある。

In recent polling, 36% were satisfied with their life but 60% believe that their life will be satisfying five years later.
最近の世論調査では、36%は現状に満足しており、また60%は5年以内に満足できるものとなるだろうと予測している。

Future expectations represent nearly a doubling in life satisfaction ? the largest increase in the OECD.
未来への期待は生活満足度でほとんど倍増を表しおり、これはOECDの中で最高水準である。

韓国の部分は私が訳したので、ちょっと不細工。なので原文を併記した。
それにしても、日本って「淋しい」社会。なかでも1か月の間に人の手助けをしたことがある人は世界最低。そういえば、先日お話したある日本のビジネスマンは言っていた。
「韓国の小学校では困った人を見たら助けなさいと教えます。日本の小学校では、他人に迷惑をかけないように、ですが」

これが「3・11以前の日本の風景」だったのだと、と改めて思う。


一方、韓国は「アカルイミライ」を信じている。まだまだ驀進が続くのだろう。


参考ページ
日本
http://www.oecdtokyo.org/
韓国
http://www.oecdbetterlifeindex.org/countries/korea/
各国別
http://www.oecd.org/dataoecd/28/25/47930053.pdf